『サティの音楽そっくりに
うれしさだけでも悲しさだけでもない、
うれし悲しいひとときだった。
サティの曲はそんな風。』
『「サティさんは、かわりもの」の絵本(BL出版・絶版)から』
ピアノと語りの合わせ練習で
親友の朗読でこの言葉を聞く度に
この夏ベルギーの帰りに立ち寄ったサティの故郷
オンフルールの街の空気がほわっと胸によぎります。
その思い出話を少し。
パリのSaint Lazareから国鉄で約2時間。
Liser駅に着き、さあ、バスに乗ってあと1時間♪
と思ったら次のバスまであと一時間ですと。。
ネット情報では確かタクシーだと30分くらい。
タクシー乗り場に張ってあった番号に電話して
3つめの番号でようやくつながって、
会話辞書片手に必死に話したら
遠いからと断られてしまいました。
しばらくしたら運よく生まれも育ちもこの町という
人懐っこいお兄ちゃんのタクシーに乗れました。
お互い片言の英語で話が盛り上がり、
明日も迎えに行くよなんて約束してくれたのに、
翌朝は、来なかった。。(笑)
おかげで電車に乗り遅れ、購入してたチケット、
パーになっちゃったという。。
ようやく辿り着いたサティ邸で
閉館ぎりぎりまで過ごした後、
宿で勧められて行ったレストランでは、
18時にお店に入り、夕飯終わったのが21時前。。
流石の人気店、やがてお店はお客様でいっぱい。
どれもこれも、忘れられないほど美味しく、
でも、ウェーターさんたちが、どのお客様とも
長い間、おしゃべりを楽しむので
なかなか料理が出てこない。。
不思議とこの街では、こんなことが全く頭に来なかった^^
スマホなんて見ている人、誰もいなくて、
宿のお姉ちゃんも街角のタバコ屋のおじさんも
気さくに話しかけてくれて。
たった一泊だったけれどゆったり時間が流れてた。
そのお店に飾ってあった花の写真を見ながら、
つらつらとそんなことを思い出していました。
さて、リサイタル「サティさんはかわりもの」まで
あと三日となりました。
おかげさまで約ひと月前には、お席も全て埋まり、
会場に頼んで増席させていただけることにもなりました。
年末の貴重なお時間をいただけること、
それがどんなに大変なことか。
「何かお手伝いすることない?」
そんなお声までたくさんいただいて、
ただただ、感謝の気持ちでいっぱいです。
都会の喧騒を少し忘れて、あの街で私が感じたような
静かでほっとするひと時を過ごしていただけたら。。
そんな思いで残り少ない開演までのお時間を
大切に過ごしたいと思います。
演奏者、そしてパーティチーム、スタッフ一同、
心を尽くしてお待ちしています。
どうぞお気をつけていらしてください。
2016年7月 オンフルールにて