青柳いづみこさんの新書「ドビュッシーのおもちゃ箱」が届きました。
100年命日前夜リサイタルの時に展示されていたエレの愛らしい絵に惹かれて
絵本付楽譜を探したのですが、その頃はドビュッシーイヤーのせいか
輸入楽譜を扱うネットショップでは完売。
このポストカードだけは手に入ったので眺めては、
なんて愛らしく生き生きと描かれているのだろう、と想いを巡らせてました。
まさに待望の一冊♪
青柳いづみこさんの訳による台本と共に
アンドレ・エレの挿絵とドビュッシーの音楽が味わえるなんて。
本は、あっという間にポストイットだらけに。
アンデルセンの童話を愛したドビュッシー。
以前、WebマガジンKLASTYLINGに
「ドビュッシー没後100年 音の画家と言われた天才作曲家はゲスの極み」
を掲載させていただき、ドビュッシーの二面性について触れました。
ドビュッシーはまた、「おとぎ話」や「絵本」に描かれるメルヘンの世界をも愛する人でした。
他にも小説家プルーストが作曲家アーンに向けて書いた手紙のこと、
ドビュッシーがサティと共にストラヴィンスキーを自宅に招いたこと、
エレとフランス6人組のひとりオネゲルとの交友関係など
興味深いエピソードがたくさん。
芸術家たちの人間臭い部分を知れば知るほど彼らの作品が面白くなってきます。
青柳いづみこさんが、リサイタルで朗読してくださったシュシュへの手紙も
収められていました。
エレと他のフランスの作曲家たちとのお話もとても奥深いです。
さて、「おもちゃ箱」の音楽について。
メンデルスゾーンの《結婚行進曲》、ストラヴィンスキーの《春の祭典》
グノーの《兵士の合唱》,自身のたくさんの曲から、
古いヒンドゥの歌、フランスの童謡やシャンソンなどなど。
たくさんのモチーフが詰め込まれて、まさにおもちゃ箱のような音楽です。
でも悲しいことに、ドビュッシーだけでなく、父の死から数か月後に亡くなった
シュシュもこのバレエの上映は見れなかったのだそう。
上演予定のその日、サラエヴォでオーストリア皇太子襲撃事件が起き、
第一次世界大戦が勃発。
その後のドビュッシーの苦悩の人生を想うとこの曲の明るさが余計に切なくも感じます。
やはり楽譜を手にしたいと想い、ぽちっとしました。